件名
「新しい東北」先導モデル事業
(風景と心の修景および創景事業ー共時空体験的ふるさと再生と創造)

事業の目的・背景
復興推進委員会の「『新しい東北』の創造に向けて(中間とりまとめ)」(平成25年6月)(以下「中間とりまとめ」という)を踏まえ、「東日本大震災復興推進調整費」を活用して、被災地に向けた取組を加速化するため、「『新しい東北』先導モデル事業」(以下「本事業」という。)を創設した。

本事業は、「新しい東北」の実現に向け、被災地で既に芽生えている先導的な取組を育て、被災地での横展開を進め、東北、ひいては日本のモデルとしていくた め、被災地の住民や団体の発意による、「新しい東北」に資する先導的な幅広い取組を公募し、支援することをねらいとするものである。本事業では、プロジェ クトの立ち上がり段階における、専門家派遣や実証事業、関係者の合意形成等、ソフト分野を中心とした取組について、国による調査として実施することで、 様々な取組を包括的に支援する(詳細は下記の業務内容参照)。

業務内容
東北地方における東日本大震災以前の映像、音源、伝承、芸術的創作資料を基に各時代のふるさと体験の実記録をヴァーチュアルテクノロジカルに再生し、最先端テクノロジーを用いて、最終的に失われたふるさとの仮想共時空感覚的再現を創造することによって、被災地域において精神的な災害のダメージの軽減をはかり心の減災の実現を進める。また、その感覚の再現による地域コミュニティーの維持、地域社会的活力の再生、文化の復元を促進する。さらに、大規模災害時における精神的減災の普遍的モデルを創造し、予想される地球環境的なものを主とする大規模災害時の精神的減災への人類共通の対応システムを開発する。

具体的には、下記3つのモデルかに取り組む。

  1. 風景の収集・修景事業ー東北地方における風景アーカイブの創造と風景の再生
  2. 風景アーカイブのシステム構築と運用
  3. 風景の配信事業ー地球規模的発信

1. 風景の収集・修景事業ー東北地方における風景アーカイブの創造と風景の再生
地元NPO、行政、ボランティア、メディア、研究機関などと連携し、被災各地域における文化施設及び公共機関に「思い出スポット」を創設し、個人が所有する写真、8ミリフィルム、ビデオテープ、音源、絵画等を収集し、時代、地域、風景的特徴などを種別化しアーカイブ化する。東京藝術大学社会連携センターをハブに地元NPO、企業、機関とコンソーシアム型連携により当該地域に開設する予定のNPO型地域連携センターを中心に設置する多元的サーバーにおいてデータを管理し将来のデマンドに対する基盤構築を果たしていく。

具体的には、以下の内容を行うこととする。

  • 関係機関、アーカイブとの調整
  • 音源の収集と音楽の創造(デジタルリマスター音源などのアーカイブ化、楽曲などの創作コンテンツの作成)
  • 映像描写技術による風景の収集と修景(絵画やハンドスケッチを含む描写記録としての風景をアーカイブ化、かつての風景の修景)
  • 映像記録の収集と修景(8ミリフィルム、ビデオテープに記録された映像資料と4Kも含む現状映像記録ならびに現地直接取材による風景の修景)
  • 評価、今後の課題整理

2. 風景アーカイーブシステム構築と運用
映像データ、音源、写真、映像描写技術、ハンドスケッチなど創造的データの活用を目指して、どのような方法、機器で保存し、また、それらをAR, MRを含めてタグ付けし、情報分類していくかシステムスキームを構築し、そのアーカイーブシステムを運用しながら修正点などをフィードバックし、より使いやすいシステムとインターフェースへの改善を図るとともに、オープンアーキテクトラルなオンデマンドアーカイーブシステムの継続的な構築に取り組む。

具体的には、以下の内容を行うこととする。

  • 関係機関との調整
  • 情報関連産業との連携
  • 前年度資料を含む、映像データ、音源、写真、映像描写技術、ハンドスケッチなどの資料のリスト化
  • ユーザーインターフェースの最適化(AR(拡張現実)技術*1、MR(複合現実感)技術*2 等の活用など)

    *1 AR現実空間の映像などに、コンピュータで作成した3次元CG映像や情報を付加して表示する技術
    *2 現実世界と仮想世界をリアルタイムに違和感なく融合させる映像技術

  • 公開・活用を見据えたアーカイーブシステムの構築・改良(全ての資料群の品目、数量、年代、記録者等の記録)
  • 評価、今後の課題の整理