よみがえる大船渡へ出向いて

三年ぶりの帰国。心の故郷と想っている日本に帰って来て震災後の東北にやっと挨拶が出来るチャンスを頂いた。
今回2月20日から5月17日まで大船渡市立博物館で開催されている展覧会「よみがえる大船渡」へ伊東順二率いる当プロジェクトチームに同伴して、一関経由で大船渡博物館へ車で向かった。
二時間半の移動中の車窓からは東北独特の大自然が美を魅せながら私の心を癒して行く反面、この同じ自然がここの土地の人々に(伊東先生の言葉を借りれば)`牙を見せた`という事を自分の目そして身で初めて感じたのであった。京都育ちの私が最初に東北にお邪魔したのは震災ちょうど一年前の2010年、「ダイハツ•コルテオ」の仙台公演のためであった。まだ「コルテオ」に入ったばかりの私は一ヶ月ちょっとの滞在中仙台の人々や土地の寛大さ・優しさを感じながらリハーサルそして公演に励んでいた。その後「コルテオ」の外国ツアーがあるためわた日本を離れ震災後も日本に帰って来る事はあまりなかった。
今回大船渡市立博物館で開催中の「よみがえる大船渡」展でみた昔の風景の絵は心温もるものばかりであり、8mmのビデオの映像に残し映された大船渡の人々の表情・笑顔はなんともまぶしいくらいに明るく素敵なものであった。こんなにもお祭やお祝いが好きで楽しい人達が住んでいた町が津波に流されたという事実がとても悲しく、悔しくて涙を流しながら命の尊さそして一瞬一瞬の大切さを再認識さしてもらった。隣りの部屋では「東日本大震災被災状況写真展Part2 −3.11巨大津波襲来。大船渡の1000時間。−」が開催中で展示されている写真の中には津波の残酷さと人々が本来持っている純粋な心・ハートで一生懸命にお互いを支え合っているというとても美しいものをもキャプチャーしている写真ばかりだった。

その光景に私は希望をもらい新たに心から優しくなり周りの世界の人々・生を尊重し、支え合い、助け合おうと心に誓った。
やはり人生の中で共存そして絆というものの重み・大切さをも改めて感じさせてもらったのであった。

自然と共に生きる東北そして大船渡の人々に笑顔に満ちたハートフルな日々を提供出来る修景・創景を心より祈り願っています。

(文 エイサクビアック 写真 新田みのる)